お寺のインターネット活用

 


9月2日、曹洞宗北海道管区さまの人権啓発研修会にて、「コロナ禍とお寺のインターネット」というタイトルでお話をさせていただきました。

お寺というのはなかなか不思議な存在で、地域の中では名前が知られている割に、インターネットの利用は、企業一般と比べてまだまだ消極的なところがあります。

時折、SNSや動画サイトにて発信を続けているお坊さんが報じられたりはしますが、まだ少数派(だからこそ報じる価値がある)ということのようです。

その一方で、個々のお寺について、ネット上の情報流通は増えるばかりです。

SNSはもちろん、Googleマップの口コミでも、勝手な評価が数値化されてしまいます。観光の対象になっているお寺については、旅行情報サイトの口コミ欄が、訪問するかしないかの判断材料の一つになっています。御朱印人気も定着して久しく、参拝記録のためのスマホアプリも存在しています。その中でも、口コミが刻々と蓄積されていくわけです。

こうした状況では、お寺だからといって、ネットには関わらないという選択肢はもはや現実的ではありません。ネットへの発信について、「どのように取り組めばうまくいくのか」について考え、実行することが求められています。家族経営が多い「ふつうの規模のお寺」にとっては、なかなか骨の折れる時代だと思います。

しかし、企業や公的組織と同様、それぞれのお寺にも「伝えたいこと」があるわけです。それをもう一度しっかりと見つめ直すことで、頭の整理はグッとラクになるのではないでしょうか。
また、お寺には、それぞれの歴史的な経緯、われわれには想像もつかないような興味深い出来事といった「宝物」が一杯です。お寺の「中の人」にとっては当たり前のそれらを、素直に表現出来さえすればうまくいくというのは、実に心強い財産だとも言えます。

そんなわけで、研修会当日は、お寺を取り巻く環境の変化を明らかにするとともに、ネット利用の始め方、成功のポイントと注意点をご紹介させていただきました。

わたくしは今回初めて知ったのですが、曹洞宗の開祖、道玄禅師のことばを集めた「正法眼蔵随聞記」には、ネットデビューの心得として誰にとってもピッタリの一節が含まれています。

そのほか、今回ご縁をいただいた曹洞宗に限らず、伝統宗教には、われわれの人生の悩みや迷いを解くようなヒントがたくさん眠っています。

長引くコロナ禍で、心の平安が乱されている人も少なくないと思います。最近では多くの宗教施設が、地域に開かれたイベントを開催しています。ご近所に機会があれば、ぜひ足を運んでみてください。きっと新しい発見があることでしょう。



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