子育てとネット動画、その光と影

#本ページは、学研Kidsnet for Parentsの連載『ネット動画とのつきあいかた』の第1回として、2018年4月6日に掲載された記事を再録したものです。(写真のみ、記事掲載時とは異なります)。

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YouTubeなど最近のネット利用では動画が当たりまえになっています。でも、子どもへの影響は、保護者の知識と対応次第で大きく違ってくるようです。インターネットの安全な利用についてくわしい高橋大洋さんによる、「ネット動画とのつきあい方」連載が始まります。(編集部より)

ネット動画について、保護者の悩みは尽きない


わたしは、コンピュータウイルス対策やフィルタリングの企業で働いたのち、インターネットの安全な利用についての調査研究や教育啓発に取り組んでいます。
そのなかで、お子さんにスマホを利用させている保護者のみなさんに、研修会の場などで講師としてお話をうかがってみると、地域を問わず目立つのはネット動画に関する悩みです。

とくに、お子さんがまだ小学生の場合には、LINEなど、オンラインコミュニケーションに関する悩みよりも、YouTubeなど動画サービスについての悩みのほうが圧倒的に多いように感じます。

「音声検索で出てくるお気に入りのアニメ動画を見るのが大好き。タブレットを取りあげると怒るので困っている」(未就学児の保護者)

「関連動画として表示されるもののなかに、ときどき、成人向けと思われるものが混ざっているのが心配」(小学生の保護者)

「夜遅くまで睡眠時間を削って動画を見ていて、翌日の学校に支障がないか心配だが、自分は大丈夫、友だちも見ているなどと言ってやめようとしない」(中学生の保護者)

実際、インターネットの利用内容についての最新の調査結果※1を見ても、小学生の段階では、メールやSNSなど「コミュニケーション」はまだそれほど多くない(34.3%)のに対して、「ゲーム」(77.9%)に次いで「動画視聴」(63.6%)は2番目に多いのです。

小学校卒業以降でも、ゲームの利用が頭打ちになるのと対照的に、動画サービスの利用は、中学生(80.3%)、高校生(84.9%)と一貫して伸び続けることが明らかになっています。 なお、その手前、乳児を含む未就学児の段階では、インターネット利用※2は、「動画視聴」(85.4%)が堂々の首位となっています。

つまり子どもとインターネットの問題のなかで、「ネット動画との上手なつきあい方」は、とくに長い期間、避けて通れない話題というわけです。

動画はコミュニケーションの新しい手段


インターネットというコミュニケーション手段では、文字でのやりとりは欠かせません。しかし、メールに写真を添付することで、文字だけでは表現しにくい情景が伝わったという経験をお持ちの方も少なくないでしょう。動画も、「くだらない内容をいつまでも見ている」「子どもにはふさわしくない内容が出てくる」と、保護者の悩みの種であると同時に、写真と同様、コミュニケーションの新しい手段としての可能性を秘めています。

実際のところ、高速通信回線や、スマートフォン、SNSの普及にともない、海外では、大手マスコミの報道や政治家のプロモーションにも、短時間にまとめられたネット動画が効果的に使われるようになっています。

さらに就職活動の一環として、大学生に短時間の自己PR動画を提出させる企業が出てきていますし、動画生中継を採用面接に利用する外資系企業もあるほどです。

弊害を心配しすぎて、子どもをネット動画からただ遠ざけているだけでは、日々発達中の新たな表現手段に接する貴重な経験を積む機会を失っている可能性もあるのです。

この連載ではYouTubeに限らず、ネット動画全般について、どんな使われ方や、どんなリスクがあるのかなど、保護者が知っておくべきことをご紹介します。また、利用時間の守り方や、魅力的な表現手段としての動画との適切な親しみ方など、家庭でできる対応についても考えていきます。

次回は「小学生はYouTubeでいったいなにを見ているのか」を予定しています。

※1
内閣府『青少年のインターネット利用環境実態調査』平成30年2月速報
※2
内閣府『低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査』平成29年5月公表