多様化するネット動画

#本ページは、学研Kidsnet for Parentsの連載『ネット動画とのつきあいかた』の第4回として、2018年7月24日に掲載された記事を再録したものです。

ネット動画=YouTubeという認識はもう古いのかも。
子どもたちが楽しむネット動画は、この数年でぐっと多彩になりました。最新の状況を確かめておきましょう。

Photo by Erik Lucatero on Unsplash

専門型動画サービスの登場

前回の記事では、ネット動画とテレビの似ているところ、異なるところについてご紹介しましたが、いまネット動画は、大きな変化の時期を迎えつつあります。

その変化の一つは、動画を楽しめるサービスの多様化です。

動画といえばすぐに思い浮かぶのがYouTubeのような大型サービスですね。これらのサービスには、子どもから大人まで、だれでも必ず自分の好みの1本が見つけられると言ってもよいほどに、さまざまな動画が数多く集まっています。いわば総合型のネット動画サービスといえます。

一方で、最近では、特定の年齢層や用途だけに焦点を合わせた、専門型のネット動画サービスも生まれているのです。
たとえば「女子のための動画ファッションマガジン」というピンポイントの切り口で生まれたのがC CHANNEL(シーチャンネル)です。そこでは、スマホでの利用を想定して動画もたて型です。

また、動画の生中継・ライブ配信に特化したアプリも人気です。中高生の自己表現の場として人気のツイキャスに加え、プロのライブなどを楽しめる後発のLINE LIVEも支持を広げています。

スマホ自体の性能やネットワークの通信速度が向上したことで、動画での表現はごくあたりまえのものになりました。巨大化した総合型サービスでは満たされない、利用者のスキマ的なニーズをきめ細かく拾っていくような、魅力的な専門型動画サービスは、これからもたくさん登場してくるでしょう。

SNSでも動画があたりまえに

変化のもう一つは、InstagramやTwitter、Facebookなど主要なSNSでも、動画を楽しめるようになったことです。
初期のSNSでは、いずれも動画をそのまま投稿することはできず、YouTubeなどリンク先サイトにある動画のサムネールしか表示できませんでした。

ところがいまでは、あらかじめ撮影・編集した動画をSNSに投稿することはもちろん、スマホのSNSアプリを使い、その場から生中継・ライブ配信することすら、とても簡単です。

たとえば「インスタ映え」という言葉でおなじみのInstagramでは、写真以外に、これまでは1分間以内の短い動画しか投稿できませんでした。しかし最近、アプリ内にIGTV(Insta Gram TVということでしょうか)と称した機能やIGTV専用の連携アプリが提供されるようになり、10分間まで(フォロワーの多いユーザーは最長60分間)の動画に対応しています。

こうしたSNSに直接投稿される動画は、利用者の日常の切り取り方や編集の方法などに独特の工夫が見られます。また、一定時間が経過すると見られなくなる「ストーリー」投稿も可能な点など、YouTubeなどに投稿される動画とはまた異なった魅力を備えるものです。ネット動画の傾向は、今後大きく変わっていくのかもしれません。

有料のネット動画サービスの広がり

これまでに紹介してきたネット動画サービスやアプリは、広告の表示と引き換えに、無料で楽しめることが基本です。
しかし日本でも、Netflix(ネットフリックス)やAmazonプライムビデオ、dTV(ディーティービー)、Hulu(フールー)といった、有料のネット動画サービスが着実に広がっています。

有料ネット動画サービスのひとつ、Netflix。Photo by freestocks.org on Unsplash

これらのサービスはサービス運営側が動画の権利者と正式に契約しているため、映画やテレビ番組などの映像作品を広告なしにいつでも高画質で楽しめます。そこでしか見られないオリジナルの映像作品シリーズが視聴できることを売りものにするサービスもあります。

こうした有料のネット動画サービスは、YouTubeなど広告視聴を前提とした無料のネット動画サービスとは異なるいくつかの特徴を持っています。

その一つは、利用者自身も動画の投稿が可能な「参加型」の利用ではなく、テレビ番組に接するのと同様、「受け身型」のスタイルが基本になっているという点です。

また、視聴できるのは、素人が撮影編集したものではなく、映像のプロがつくった一定以上の質の高いコンテンツで、もちろん、子ども向けのコンテンツも充実しています。

有料とはいっても、月ごとの定額制が基本なうえに、子どもが勝手にコンテンツを追加購入することを禁止したり、大人向けコンテンツを視聴できなくしたりという設定もできますので、「最近、子どもに見せられるテレビ番組が減った」とか、「YouTubeを見せていると、検索でなにが出てくるか分からず不安」などと感じている保護者には、一見の価値があるかもしれません。

今回ご紹介したとおり、ネット動画はこの数年で多様化が進んでいます。無料だからとこれまでどおりに漫然とYouTubeを見せるのではなく、それぞれのサービスの特徴や魅力を保護者もよく把握したうえで、ご家庭やお子さんに合ったものを、いっしょに楽しめるようになるといいですね。

次回は、いま小学生に人気の職業「ユーチューバー」について考えます。