どこから手をつける、長時間利用問題

#本ページは、学研Kidsnet for Parentsの連載『ネット動画とのつきあいかた』の第5回として、2018年9月28日に掲載された記事を再録したものです。


子どもがネット動画を見ている保護者に共通の悩みに、「やめられない」「止まらない」があります。保護者はどうすればよいのでしょうか。


軽く考えると一生後悔する? 長時間利用問題

最新の全国調査※1によれば、中学生の56.7%が、平日1日あたり2時間以上ネットを利用しています。小学校高学年でも、33.4%が2時間以上利用するなど、低年齢化も進んでいます。

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小学生の段階から人気が高いネット利用は、「動画」と「ゲーム」です。とくに、「動画」の長時間利用に悩む家庭は少なくありません。ネット利用が長くなったとき、最初に犠牲になるのは睡眠時間ですから心配も当然です。

睡眠は、健康や発達の大切な基礎です。低年齢の時点での睡眠不足の慢性化は、成長後の睡眠障害などの原因にもなります。

長時間利用は、子どもたちの一生に関わる問題なのです。

つい長時間になるのはうちの子の意思が弱いから?


動画の視聴がほどよいところでやめられないのは、わが子の意思が弱いからでしょうか。よその子たちは上手に切り上げられているのでしょうか? もちろんそんなことはありません。

ネット動画の多くが、掲載広告と引き換えに無料で楽しめます。運営会社は、より多くの人に、より長く広告を見てもらえるよう、さまざまな工夫をこらします。

たとえばYouTubeでは、目あての動画を見終わると必ず、「次の動画」が表示されます。推薦されるのは、自分自身の好みにぴったり合った動画です。自制心がまだ弱く、好奇心おうせいな子どもたちは、そうした働きかけにあらがえません。運営会社の思惑どおり、次々に動画とそれに付随してくる広告を見ることになります。

まずは「終わりの時間」に集中してみよう


どうしたら動画視聴の長時間化に歯止めをかけられるのでしょうか。

家庭での取り組みの第一歩は、ネット利用に使える時間帯を親子でいっしょに計算するところからです。
個人差はあっても、小学生(6〜12歳)段階での望ましい睡眠は9〜12時間※2です。
起きる時間は、学校に行く時間と身支度や朝食にかかる時間で決まるので、簡単な引き算で就寝の時間が決まります。睡眠の質を保つため、就寝1時間前をネット動画視聴の「終わりの時間」とします。※3

まず保護者が集中すべきは、睡眠や「終わりの時間」の大切さを子どもとよく話し合い、理解させたうえで、毎日守らせることです。

「一晩くらい大丈夫」、「寝るときにベッドで動画を見たい」、「友だちもみんな遅くまで起きている」などの反論には、


  • 寝だめはできないこと
  • 寝る直前の光の刺激は睡眠の質を下げるので同じ睡眠時間でも効果が下がること
  • 人間の身体は適切な睡眠なしで能力を発揮できないので、ロナウドや大谷翔平など有名なスポーツ選手はだれもが睡眠をとても大切にしていること

などを説明しましょう。

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また「子どもがなにを見ているか」の不満は、いったん切り離して考えることが大切です。

保護者は、「子どもにはヘンなもの、クダラナイものは見せたくない」と考えます。しかし、その動画の価値を、わたしたち大人が将来を予見して判断することなどできません。
「見たい」「分かる」「価値がある」という子どもなりの判断を頭ごなしに否定する方がマイナスと考えましょう。
「終わりの時間」さえ動かなければ、いずれ子どもの側も見るものに優先度をつけるようになるのです。

Windows10など、パソコンの基本ソフトには利用時間帯を制限する機能が備わっています。この秋以降、スマホやタブレットにも同様の機能が標準装備される見込みです。そうしたツールを使えば、さらに確実に「終わりの時間」を守らせることができるでしょう。

ネット動画について考えるうえでは、家庭学習時間や他の遊びとのバランスなども気になります。しかし、睡眠リズムが守られていなければ、学習や遊びは充実させられません。まずは睡眠の確保に集中しましょう。

次回は、まだあまり知られていない、「子ども専用のYouTubeアプリ」についてご紹介します。

※1 平成29年度 青少年のインターネット利用環境実態調査

※2 米国睡眠医学会(AASM)

※3 子どもたちのインターネット利用について考える研究会