福岡県 中高生ICTサミットin 北九州が無事開催されました

 


恒例の福岡県 中高生ICTサミットが、おかげさまで今年度も無事終わりました。
わたくし、はるばる札幌から、こちらのイベントの進行をお手伝いするようになって3年目です。
前回2020年度は福岡市での開催、前々回2019年度は飯塚市での開催でした。

事前動画で学びのプロセスを会期前まで広げる

今年度の中高生ICTサミットはもともと、会期を1月24日と定め、会場を水巻町中央公民館として、例年同様のリアル開催が計画されていました。その後、コロナ禍での展開の不透明さを見越して、講師のみはリモート参加にすることが、昨年11月の段階で決まりました。

ところが今年度は、短時間のイベントで正面から取り組むには少々重たい「ネット上の誹謗中傷」がテーマ。参加者全員が、予備知識をしっかりと持ってもらわないと、そもそも“熟議”が成り立ちません。

さらに、講師として顔を合わせて、熱量のある話ができないハンディを、どうやって補うべきか。思案の結果、事前学習用の短い動画を制作し、YouTubeに限定公開しておき、参加予定のみなさんには、空き時間に自宅や学校から見てもらうことになりました。
YouTubeのいわゆる概要欄に、関連する資料へのURLリンクを貼りました。意欲の高い参加者向けには、さらなる自学の貴重な糸口になったことと思います。



この動画(関係者限りということで、残念ながらリンクはできませんが…)は全部で13分ほど。前半では、ネット上の誹謗中傷についての基礎的な情報提供を、後半では熟議という取り組みを含め、イベント当日の流れについて説明をしています。

ごくごくカンタンな内容ではありますが、このような動画が、自宅で収録、自分のパソコンで編集から公開まで出来てしまうのですから、本当にいい時代になったと思います。

主役の中高生も集まれないことになり、構成を再度見直し

年明けになって、福岡県内にも緊急事態宣言が出されたことで、それなりの密になることが想定される熟議スタイル(飯塚開催時の動画で雰囲気が分かります)での開催は回避すべき、という判断から、会期を繰り延べした上で、オンライン開催への変更が決まりました。しかも、「対話型の講演」にするというのです。

対話型にすることそのものは大変良いアイデアです。問題は、参加する中高生全員が、一人一台の情報機器で参加するわけではなく、複数名で一台の機器を共有する形で、学校から参加する生徒さんの割合が、それなりの高い比率になると予測されていることでした。

今回の件に限らず、オンラインで双方向的な進行をする際、集合型の参加者については、
  • 一人ひとりの考えを他のオンライン参加者(講師含む)に表明しにくい
  • 表情や反応が、他のオンライン参加者(講師含む)から判別しにくい
という難点があります。参加者の写りは悪いことが多く(カメラの配置やアングル・画角の問題、なによりも照明の不備)、何よりも音声を拾うことが難しく聞き取りにくい(会議用のスピーカーフォンを使っても、カバーできるのはせいぜい4名くらい)。

もちろん、各現場ごとにファシリテーター役を置き、意見交流の進行や、意見の取りまとめ、発表などを担ってもらうという方法はありますが、今回は準備期間的にも、内容的にもその方法の採用は難しいと考えられました。

結局、本格的な“対話型”よりも少しだけ目標レベルを下げて、“参加型”として組み立てるという折衷案で進めることになりました。

幸い、今回利用するZoomにはチャット機能が備わっています。参加者の中高生は、チャットの入力には抵抗はないでしょう。講師一人だけでは、厳しいところもありますが、届いたチャットをさばくアシスト役も準備できたので、この機能を最大限に活用することになりました。

また講演の組み立ても、
  1. 講師から情報提供
  2. 参加者から質問
  3. 講師から補足説明
ではなく、
  1. 講師から質問→参加者がその時点での回答を出してみる
  2. 講師から情報提供(質問の答え合わせや、関連する解説)
  3. 参加者から補足的な質問
というサイクルを複数回繰り返すかたちに変更しました。

結果的には、少なくとも講師としては、まずまずの手応えを感じながら進行することができました。(参加者からのアンケート結果がまだ手元に届いていないので、講師の早合点の可能性もありますが…)。

ふりかえってみて思うこと

進行中のチャットでのやりとりを取り入れたことで、通常の集合型であれば手が挙がらなかったような意見表明や、質問がたくさん出ました。
また、組み立てのサイクルを見直したことで、より自分ごととして、一つ一つの話題に向き合ってもらえたように思います。

対面型や、集合型のイベントには、もちろん大切な役目があります。

でも、それが実現できなくても、準備と工夫次第で、得られるものはたくさんある。
オンラインを取り入れることで、学びの機会を深める、拡げられる可能性はむしろ大きいのではないかと、あらためて感じることができた今年度の中高生ICTサミットでした。

わたくし自身が引き続き関われるかどうかは分かりませんが、次年度以降の福岡県さんの展開に期待しています。

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