生徒指導担当の先生方にお話しした「SNSトラブルの理解と対応」
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先日、ある自治体の学警連のみなさん向けに、60分間のオンライン講座を提供する機会をいただきました。
「学警連」というのは、学校・警察連絡協議会の略称です。なかなか聞きなれないことばですね。児童生徒の健全育成、非行防止、犯罪被害に遭わせないことを目的に、全国各地に設立されています。都道府県レベルだけでなく、警察署単位や市町村単位での組織もあります。学校側からは管理職と生徒指導担当の先生方が、警察側からは生活安全部門の担当者が参加します。そして近年は、児童生徒のインターネット利用も、もちろん学警連の本来の活動の範囲に入ります。
ちなみに、今回いただいたお題は「SNSトラブルの理解と対応」というものでした。小学校高学年から高校生まで、SNS利用がとても身近なものになっている中で、学校内でのトラブルだけでなく、学校外の相手とのトラブルも起きているわけです。
こうしたトラブルは、子どものネット利用が社会問題として、注目を集めるようになった2000年代半ばから続いているわけで、昨日今日始まったというわけではありません。
ただし、一昔前の携帯電話(ケータイ)の頃と違うのは、世の中がすっかりと「スマホありき」「ネット利用が当たり前」に変わったこと。学校すら、一人一台のコンピュータを児童生徒に配るようになったのですから。
これに伴い、学校での生徒指導の基本方針も、当初の(ケータイ/スマホやSNSを)「排除する」「できる限りデビューを遅らせる」のままではいられなくなりました。なんとかしてうまく「軟着陸させる」方法を見つけなくてはいけません。
そのためには、SNSの危険性と利用上の注意点を、しっかりと児童生徒に伝える必要があります。実際、先生方の日常的な指導に加えて、外部から講師を招いた安全教室が、どの学校でも当たり前のように行われています。
にも関わらず、先生方の目の前でSNSトラブルが起きるわけです。
「オンラインでの悪口や誹謗中傷を書いた/書かれた」
「SNS上の行き違いで友だちの仲が悪くなった」
「グループ外し」
「不適切な写真や動画をアップロードしてしまった」
「自分や他人のプライバシー情報を載せてしまった」
「隠し撮りや写り込みでの肖像権侵害」
といった話が、全国どこの地域でも聞かれます。これは、先生方はもちろん、当事者の児童生徒にとっても、避けたい状況です。
そこで今回の講座では
- 基本は通常の生徒指導案件と同等(書き込み対応は専門窓口をなるべく早く利用)
- 再発防止の指導内容や対応切り分けに、いわゆる「三種の知識」モデルを活用
- 学校は、自校 児童生徒の利用状況把握や、自校での人気SNSの理解を
- 児童生徒には「失敗して当然」の前提で、ありがちな反応に半歩先回りする指導を
- 学校から家庭に「ルールづくり」と「フィルタリング」を求める時代ではない
これからも続くであろう児童生徒のSNS利用は、学警連のような組織には、特に悩ましく難しい話題なのだと思います。何か一つでも参加された方々のヒントになるようなことがあればと願っています。