子どもがスマホを欲しいといったら?(前編)〜「なんとなく」デビューは、いばらの道


#本ページは、学研Kidsnet for Parentsの特集『子どものスマホデビュー、その時に』の一部として、2018年2月1日に掲載された記事を再録したものです。(写真のみ、記事掲載時とは異なります)。

Photo by David Calderón on Unsplash

スマホデビューをめぐる親子のズレを知る


スマートフォンでインターネットを利用する子どもは、いまや小学生の4人に1人、中学生では2人に1人とされます。
そのデビューのタイミングは年々早まる傾向です。

子どもにとって自分のスマホは、保護者に邪魔されずにあらゆる娯楽や友だち関係を楽しめる、夢の世界への入り口です。
持たせるまでは「友だちもみんな持っているから、自分だけないと連絡が来なくて困る」とか「移動中に好きな音楽が聞きたい」などを理由にあげるのですが、実際には、YouTubeやゲームはもちろん、いろいろ遊べる自撮りアプリなどを、友だちからすすめられるままに次々とダウンロードする状況になりがちです。

一方、保護者の側のスマホへの期待は、緊急時の連絡に役立つのではないかという実務的なもの。習いごとや塾通いが多いお子さんや、毎日の通学にバスや電車を使うお子さんであればなおさらでしょう。
さらに「みんな持っている……」と言われると、自分の子だけ持たせないと仲間外れになるかもと不安にもなります。しかし、実際に持たせるとなると、成人向けの情報や画像への接触、課金、依存、心身への影響など、保護者の心配は尽きません。


ありがちなデビューの問題点とは? 


一般に、子どものスマホデビューは「先のこと」とのんびり構えて、子どもに言われてから慌てて考えはじめる保護者が多いようです。

ありがちなのは、「中学生になったら」「◯年生になったら」のように、デビューをただ引きのばすという対応。
子どもの進学や進級のタイミングが来たからといって、さまざまな心配ごとが自動的に解消するわけではないのですが、さらに学業成績や受験の成否を条件につけ加えて、スマホを「ごほうび」にしてしまう家庭も少なくありません。

いざデビューの段になっても、利用ルールをなにも決めない家庭があります。もし決めたとしても、機器を大切に扱うとか、料金のこと、危ないサイトには行かない、などでは、本当に避けたいトラブルを防ぐ効果はありません。

さらには、フィルタリングを利用しているからもう大丈夫とか、子どもにもプライバシーがあるからなどと、お子さんのスマホ利用から完全に目を離してしまう保護者がいます。逆に、心配が過ぎてスマホの中をのぞき見していることがバレ、お子さんとの関係が悪化してしまったという話もよく聞きます。

お子さんがスマホを利用中のどの家庭からも聞かれる悩みは「利用時間が長すぎること」です。原因はYouTubeやゲームなどの娯楽と、SNSによるコミュニケーションに分かれますが、犠牲になるのは、睡眠と家庭での勉強時間。軽く見られがちですが、実は深刻で取り返しがつかないのがこの問題です。

デビューについて考えるのに早すぎることはない


こうした問題への対応は、デビュー前の保護者の準備しだいで、グッとラクになります。

保護者がわが子のスマホ利用について考えるのに、早すぎるということはありません。これまでは子どものスマホデビューの何を心配すべきか、ぼんやりとしていたかもしれませんが、この記事を読んだことで、ずいぶんと焦点が合ってきたはず。あとは行動あるのみです。

まず保護者にしてほしいのが、リアルな情報収集です。周囲の保護者に、スマホ利用の状況や持たせ方の方針を聞いてみましょう。
同級生でなく、上の学年の保護者から方針や失敗談が聞ければ、より具体的なデビュー後のイメージが持てるでしょう。

また、同じ年齢や性別であっても、スマホとのつきあいかたや興味の持ち方は、子ども一人ひとり大きく違います。保護者のスマホを貸し与えたときに、子どもがどのアプリに興味があり、どのように遊んでいるのか、よく観察してみましょう。

次のページでは、理想的なスマホデビューのあり方と、保護者が取り組むべきことについて具体的に紹介します。(後編に続く)


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