子どもがスマホを欲しいといったら?(後編)〜ルールづくりは子どもと対話しながら

#本ページは、学研Kidsnet for Parentsの特集『子どものスマホデビュー、その時に』の一部として、2018年2月7日に掲載された記事を再録したものです。(写真のみ、記事掲載時とは異なります)。→前編を読む

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子どもの力を見定めるのは保護者の役目

後編では、子どものスマホデビューにあたって保護者が事前にできる準備をお伝えしていきます。

子どもが自分のスマホを欲しいといったとしても、そもそも子ども専用のスマホが必要ないケースも少なくありません。はやりの動画が観たい、週に何度か友だちとの連絡に必要といったレベルであれば、保護者のスマホを共有する、自宅のパソコンやタブレットを使わせるなどの方法を検討してみましょう。

同じスマホでも、どんなアプリを入れるのか、そのアプリをどこまで使わせるかが、トラブル発生の可能性に影響します。
たとえば子どもたちの人気が高いYouTubeでも、子どもの自制心が不十分なうちは、一人では自由に閲覧させられません。さらに、YouTubeに動画を公開するとなれば、インターネットのいろいろな特性を子ども自身がよくよく理解していることが前提となります。

利用を認めるか、認めないかという二択で考えるのではなく、「知っている」と「できる」をはっきりさせて、区切りをつけながら利用を少しずつ認めていこうという考え方です。

子どもたちのインターネット利用について考える研究会「段階的利用モデル(2015)」を著者が改変


利用させる範囲と求められる力の関係は、専門家によって既に整理されています※1。
一方的に禁止や制限をするのではなく、各段階で求められる力や知識をあらかじめ保護者が説明し、自身に力がつけば制限される範囲は小さくなるという考え方を、子ども自身が理解しておくことが大切です。
子どもとの対話がルールづくりのキーポイントとなっているのです。

そして、利用させる範囲は、子どもの年齢・学年で決めるのではなく、一人ひとりの力に合わせ、保護者が判断する必要があります。

機能制限と初期設定には大人の常識をはたらかせて

利用させると約束した範囲をこえた勝手な利用を防ぐために、すべてのスマホに保護者が設定できる機能制限のしくみが備わっています。
なかでも有名なのはフィルタリングで、アクセスできるウェブサイトを一定の範囲にとどめるためのものです。

さらに、スマホでは、アプリのインストール自体の制限が大切です。同じスマホでも、入れるアプリによって、危なさや難しさが大きく変わってしまうからです。
iPhoneとAndroidスマホで少し方法は異なり、操作や設定がわかりにくいところにかくれてはいますが、ショップなどで相談すれば簡単にできる操作です。
スマホの基本ソフト上や、携帯電話会社が提供している制限アプリを使うので、無料です。

使うことを認めたアプリでも、初期設定は子どもまかせにせず、保護者がいっしょに内容を確認しながら進めてください。
というのも、最近のアプリでは、本来の用途に加えSNSの機能を備えているものが少なくありません。そのための会員登録や自己紹介に書くべき内容、投稿した文章や写真の公開範囲などは、スマホを使い始めたばかりの子どもには判断が難しいためです。

このときも技術的な知識は必要ありません。保護者が大人の常識をしっかりとはたらかせれば、不要なリスクは避けられます。

ルールづくりは利用時間を軸に

家庭でスマホのルールをつくるときは、利用時間に関わる点に絞るのがおすすめ。利用の中身やルールを守れているかを、保護者が把握し続けることは現実的ではありませんが、利用時間なら客観的に判断できるからです。

具体的には、スマホを利用できる一日の時間数や利用しない時間帯(夜◯時から朝◯時)を定めましょう。それを守りやすくするため、家族みんながスマホを充電する場所を定め、そこ以外では充電しないなどの項目を付け加えると良いでしょう。

利用時間帯や時間数の上限を考える際には、年齢に応じた望ましい睡眠時間※2や、自宅学習に必要な時間などを親子で具体的に数え、スマホ利用は「自由に使える残り時間」の範囲内にとどめるという手順を踏むことが大切です。

たとえば、小学生が睡眠時間を10時間確保したうえで、学校関連(準備や登下校時間を含む)で 8時間、食事やおふろなどの生活時間で計2時間、家庭学習で1時間がそれぞれ必要と考えると、平日1日のうち自由に使える残り時間は3時間という計算になります。
この時間を、外遊びや習いごと、テレビやスマホ利用などで分け合うことになるわけです。

また、トラブルはすぐに保護者に相談するという項目もぜひ加えてください。技術的なことは苦手でも、周囲や専門家の助けを借りることならどんな保護者にもできます。失敗が小さなうちに、手を差しのべられる関係こそがお子さんを守るのです。

お子さんのスマホデビューのあと、保護者に求められているのは、最新の機器や人気のアプリの最新情報を追いかけることではありません。もっとも大切なのは、一人ひとりみな違う子どもたちのスマホ利用をよく見て、その力と成長を見逃さないことです。
大人の常識と判断力に自信を持ち、ときにはお子さんにも教わりながら、スマホやインターネットを活用する力をともに高めていきましょう。

※1 子どもたちのインターネット利用について考える研究会

※2 米国睡眠医学会(AASM)によるガイドラインでは、小学生で9-12時間、中学生・高校生で8-10時間

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