ネットでの契約やおカネの問題について考えた


9月10日土曜日午後、たかまつ国際会議場で開かれた香川県高等学校PTA連合会の研修会にお邪魔してきました。文部科学省委託事業「ネットモラルキャラバン隊」の一環としての開催です。

研修会のテーマは、本年4月から成年年齢が18歳に引き下げられたことを受けて『安全に賢くネットを活用できる18歳成人となるために』。成年年齢引き下げのもたらす幅広い影響の中から、特にインターネット利用に関わる“契約”や“おカネ”について掘り下げてみようという、時宜を得た取り組みでした。

当日のわたくしの役回りは、研修会冒頭での問題提起と、2時間ほどのパネルディスカッションのコーディネートです。

パネルディスカッションにはこのテーマの専門家として、弁護士の上沼紫野先生と、ECネットワークの原田由里さんを迎え、さらに保護者代表(県高P連会長の杉本勝利さん)と、当事者として高校生のお二人も交えて、「どんなことが起きているのか」「何が問題なのか」「(高校生の周りにいる)大人には何ができるのか」を考える大切な時間となりました。

不適切な閲覧や、性暴力被害、ネットいじめや長時間利用など、これまでの青少年ネット問題については、長年に渡る様々な取り組みがあり、それぞれの問題点や対応も語り尽くされてきた感があります。言うなれば、「あとは実行するだけ」という段階でしょうか。

ところが今回のテーマとなった“インターネット上での契約やおカネ”について、当事者の子どもたちと、保護者など大人の間には、相当大きな隔たりがあるように思われます。

たとえばフリマアプリのメルカリは、サービス開始からまだ10年が経過していません。 QRコード決済のPayPayに至っては、5年未満です。とても急激な変化が続いている中、子どもの側は、毎日前に進んでいき、利便性とリスクを具体的に知り、子ども同士で共有する一方で、大人の多くは、「よく分からない」ゆえの怖さを感じたり、「これまでどおりでも、それほど困るわけではないし」という現状維持に落ちつくことで、新しいアプリやサービスの魅力すら経験できていないのではないでしょうか。

ネット利用とキャッシュレス決済について、学んだことがある保護者は少ない

かくいうわたくし自身も、ネットの消費者問題についてはまだまだ勉強途中というのが本当のところで、わが家の子どもたち(高1と中1)から、“新しくやりたいこと”が持ち込まれるたびに、「ちょっと待って」とあわてて調べたりしているわけです。


今後、キャッシュレス決済がより日常的なものになっていくことは明らかです。関連する技術や法律、サービスの具体的な仕組みや利便性、リスクについて、子どもたちはもちろん、われわれ大人にも、学ぶことが強く求められています。

しかし当日、専門家のお二人からも指摘があった通り、最新のトラブル事例や悪質業者の手口ばかりを追いかけ続けるような学び方は、決して得策とは言えないようです。

それよりも、契約やおカネについて、大人が持っている“常識”をしっかりと働かせることや、親子がお互いの知恵と経験を持ち寄って、トラブルの予防や回避に努めるという姿勢を保つこと、あいにくトラブル当事者になったら、専門相談窓口を早めに利用するなどの方が、はるかに重要です。

幸い、信頼できる教材や情報が、ネット上には多数提供されています。わたくし自身も、運営に関わるSIAネットセーフティプログラムなどを通じ、“ネットとおカネ”、“ネットと契約”についての学習の機会づくりに努めていきたいと感じました。





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