「スマホばかり見せてていいのかな」と思ったときに、まず試したい3つのこと


いまどきの保護者の悩みは深い

NHKが「スマホ育児」の現状について報じています。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250627/k10014845511000.html

この記事では、0歳から小学校低学年の子どもをもつ家庭のメディア利用実態が紹介され、同調査を担当されたベネッセ教育総合研究所の高岡純子さんも「まずは家庭内でルールを決めることが大切」と語っていました。

とても真っ当な指摘です。

ただし、子育て中の保護者当事者ほど、「そうは言ってもね……」と感じる指摘かもしれません。

実際、記事中でも「息子ぐらいの年齢の子どもは自制がききません」という保護者の率直な声が紹介されていました。ルールを決めたら素直に従う、自分でブレーキをかけられる発達段階ではないわけですから、当然ですね。

なにか「ルールづくり」の他にもできる工夫はないでしょうか。

小さいお子さんのネット利用は、圧倒的にネット動画の視聴です。そこで試してみていただきたいことはたとえば以下の三つです。


1.スマホではなく、テレビの大画面で見せる

ネット動画を見せるのをやめましょう、ではありません。

スマホではなく、リビングのテレビで見せる方が、専門家が懸念している子どもへの悪影響がグッと減ると考えられます。

方法はいろいろあります。ネット動画が見られるテレビ(スマートテレビ/コネクテッドテレビ)をお持ちのご家庭では、それを優先させてください。Fire TV StickやApple TVをお持ちの方は、ぜひそちらをご利用ください。

今回のベネッセさんの調査結果でも、回答者の44%がスマートテレビを、38%がFire TV Stickなど(ネット動画をテレビに投影するための機器)をお持ちという結果でしたので、ハードルは案外低いと思います。

ウチにはどちらも無いよという方は、2,000〜3,000円前後で「スマホとテレビをつなぐHDMIアダプタ/ケーブル」※ を購入することで、カンタンに、スマホの画面をテレビに投影できるようになるはずです。

テレビの大きな画面で見せることで、「子どもが何を見ているか」が遠くからでもわかるようになります。あとで親子の話題にもできるようになりますし、視聴の途中で動画の内容について、なにかお子さんと会話できることもあるかもしれません。

そして、テレビで見ることで、スマホで見るよりも「没入感」が下がる。これもとても重要なポイントです。スマホの小さな画面に顔を近づけて見ていると、他人の声が聞こえにくくなります。気配を感じにくくなります。テレビで見ると、社会的に意味のある中断(会話、呼びかけ)が入りやすい共有の空間での行動になるのです。

近い距離でスマホの画面を見続けることによる眼精疲労(スマホ老眼などとも言われます)や、急性内斜視の急増が、眼科医から指摘されています。これについても、スマホではなく、テレビで見るようにすることで、眼の健康、視機能の発達への悪影響の軽減が期待されます。


2.食事中は「消音」にしてみる

「ごはん中はテレビを消しましょう」とは、なかなか言いにくい時代かもしれません。飲食店などでもテレビがつけっぱなしになっているところは珍しくありません。在宅中はテレビがいつも映っているのが当然という保護者も少なくないことでしょう。そうなると子どもに「食事中にスマホを見るのはやめて」とは言いにくい。

そういう場合は、食事中は音を消すと決めるだけでも効果があります。

人間の脳は、映像と音を同時に処理しようとすると、そちらに強く注意を引かれてしまいます。つまり、会話や食事のせっかくの楽しさを邪魔してしまうのです。

もちろん本当は、食事中はネット動画は見ないという習慣にしたいところです。でも、それが難しいのであれば、スマホではなく、テレビ画面で見る環境を作った上で、次善の策として「ごはんの間だけ、音は消そうね」と。

これは意外と子どもも大人も納得しやすいスモールステップです。


3.あらかじめ「終わりの時間」を決めておく

「◎時までね」と時刻で区切ることで、親子間の駆け引きではなく、時計という共通の道具での対話が生まれます。

そもそも楽しい時間を「おしまいにする」、というのは、ネット動画の視聴に限らず、決して簡単なことではありません。特に子どもにとっては、自然に身につくものではなく、終わらせる力は、意識して獲得していくべきものだと考えられます。「終わりを決めて、終われた」という経験の積み重ねが、自己調整力を育てていきます。

もちろん、終わりの時間は、少しくらいズレてもかまいません。「今日はちょっと長くなったけど、明日はどうする?」「◎時までに終わらせるためにはどうしたら良いかな」と話すだけでも意味があります。保護者がお手本を示すことも必要です。


いまがんばっておくと、後がラクになります

これら三つは、すべてを高いレベルで達成しなければならないというわけではありません。しかし、冒頭のNHK記事などを見て、「スマホばかり見せていていいのかな」と不安になった方には、どれか一つだけでも(特に1.がオススメです)、ぜひお試しいただきたいスモールステップです。子どもに言うだけでなく、保護者が始めること、変わることに意味があるのです。

そして、低年齢でのインターネット利用習慣というのは、小学校高学年以降、思春期のネット利用のあり方(オンラインゲームやSNSとの上手な距離の保ち方)にも大きな影響があります。

最初が肝心という言い方もあります。お子さんが小さく、ネット利用の内容がシンプルなうちに、試行錯誤を始めておきましょう。


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