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10月, 2018の投稿を表示しています

小学生はYouTubeでいったいなにを見ているのか

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#本ページは、学研Kidsnet for Parentsの連載『ネット動画とのつきあいかた』の第2回として、2018年5月25日に掲載された記事を再録したものです。 Photo by JESHOOTS.COM on Unsplash 子どもたちはYouTubeが大好き。でも子どもたちが好んで見ている動画は、わたしたち大人のそれとはちょっと違うようです。 ある小学校の5年生全員に聞いてみると 小学生から高校生までのインターネット利用のなかでも、動画視聴がとくに人気なのは、前回記事で紹介したとおりです。ところが、子どもたちがどのような動画を好んで見ているのかについて、公的な調査結果は見あたりません。 とはいえ、わたしたち保護者の立場からしてみれば、「ほかの子はYouTubeでなにを見ているのか」はおおいに気になるところ。そこで今回は、わたしが講師として今年2月に訪問した、ある公立小学校の5年生全員に聞いてみた結果を紹介します。※ その学年での人気動画の第1位は「ゲーム実況」。6割を超える児童が「よく見る」と答えました。 ゲーム実況動画とはその名のとおり、実際にゲームをプレイする一連の流れを収録した動画のことです。おもな素材は進行中のゲームの画面ですが、音声で面白おかしく実況中継したり、テンポよく編集したりすることで投稿主側はうでを競っています。 ゲーム実況に人気が集まる理由は、ゲーム自体の人気に加え、いわゆる攻略本代わりの情報源になることが考えられます。ゲームが上手な友だちのプレイを見せてもらうかのように、見るだけという楽しみ方や、これから遊ぶゲーム選びの参考にすることもできます。 YouTubeで「ゲーム実況」と検索してみると、人気動画がたくさん見つかります。実際に何本か見てみると、人気のひみつがわかるかもしれません。 テレビとは違うネット動画の魅力 質問「あなたがYouTubeでよく見るのはどんな動画ですか?(いくつでも)」への回答 2018年2月筆者調べ 調査対象は小学校5年生の男女57人 第2位は「ユーチューバーの番組」 (50.9%)です。さすが、小学生男子のなりたい職業の上位に位置するだけのことはあります。 続く 第3位には「やってみた、ネタ、面白い動画」 (49.1%)が入りました。これは

子育てとネット動画、その光と影

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#本ページは、学研Kidsnet for Parentsの連載『ネット動画とのつきあいかた』の第1回として、2018年4月6日に掲載された記事を再録したものです。(写真のみ、記事掲載時とは異なります)。 Photo by lucas clarysse on Unsplash YouTubeなど最近のネット利用では動画が当たりまえになっています。でも、子どもへの影響は、保護者の知識と対応次第で大きく違ってくるようです。インターネットの安全な利用についてくわしい高橋大洋さんによる、「ネット動画とのつきあい方」連載が始まります。(編集部より) ネット動画について、保護者の悩みは尽きない わたしは、コンピュータウイルス対策やフィルタリングの企業で働いたのち、インターネットの安全な利用についての調査研究や教育啓発に取り組んでいます。 そのなかで、お子さんにスマホを利用させている保護者のみなさんに、研修会の場などで講師としてお話をうかがってみると、地域を問わず目立つのはネット動画に関する悩みです。 とくに、お子さんがまだ小学生の場合には、LINEなど、オンラインコミュニケーションに関する悩みよりも、YouTubeなど動画サービスについての悩みのほうが圧倒的に多いように感じます。 「音声検索で出てくるお気に入りのアニメ動画を見るのが大好き。タブレットを取りあげると怒るので困っている」(未就学児の保護者) 「関連動画として表示されるもののなかに、ときどき、成人向けと思われるものが混ざっているのが心配」(小学生の保護者) 「夜遅くまで睡眠時間を削って動画を見ていて、翌日の学校に支障がないか心配だが、自分は大丈夫、友だちも見ているなどと言ってやめようとしない」(中学生の保護者) 実際、インターネットの利用内容についての最新の調査結果※1を見ても、小学生の段階では、メールやSNSなど「コミュニケーション」はまだそれほど多くない(34.3%)のに対して、「ゲーム」(77.9%)に次いで「動画視聴」(63.6%)は2番目に多いのです。 小学校卒業以降でも、ゲームの利用が頭打ちになるのと対照的に、動画サービスの利用は、中学生(80.3%)、高校生(84.9%)と一貫して伸び続けることが明らかになっています。 なお、その手前、乳児を含む未就

子どもがスマホを欲しいといったら?(前編)〜「なんとなく」デビューは、いばらの道

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#本ページは、学研Kidsnet for Parentsの特集『子どものスマホデビュー、その時に』の一部として、2018年2月1日に掲載された記事を再録したものです。(写真のみ、記事掲載時とは異なります)。 Photo by David Calderón on Unsplash スマホデビューをめぐる親子のズレを知る スマートフォンでインターネットを利用する子どもは、いまや小学生の4人に1人、中学生では2人に1人とされます。 そのデビューのタイミングは年々早まる傾向です。 子どもにとって自分のスマホは、保護者に邪魔されずにあらゆる娯楽や友だち関係を楽しめる、夢の世界への入り口です。 持たせるまでは「友だちもみんな持っているから、自分だけないと連絡が来なくて困る」とか「移動中に好きな音楽が聞きたい」などを理由にあげるのですが、実際には、YouTubeやゲームはもちろん、いろいろ遊べる自撮りアプリなどを、友だちからすすめられるままに次々とダウンロードする状況になりがちです。 一方、保護者の側のスマホへの期待は、緊急時の連絡に役立つのではないかという実務的なもの。習いごとや塾通いが多いお子さんや、毎日の通学にバスや電車を使うお子さんであればなおさらでしょう。 さらに「みんな持っている……」と言われると、自分の子だけ持たせないと仲間外れになるかもと不安にもなります。しかし、実際に持たせるとなると、成人向けの情報や画像への接触、課金、依存、心身への影響など、保護者の心配は尽きません。 ありがちなデビューの問題点とは?  一般に、子どものスマホデビューは「先のこと」とのんびり構えて、子どもに言われてから慌てて考えはじめる保護者が多いようです。 ありがちなのは、「中学生になったら」「◯年生になったら」のように、デビューをただ引きのばすという対応。 子どもの進学や進級のタイミングが来たからといって、さまざまな心配ごとが自動的に解消するわけではないのですが、さらに学業成績や受験の成否を条件につけ加えて、スマホを「ごほうび」にしてしまう家庭も少なくありません。 いざデビューの段になっても、利用ルールをなにも決めない家庭があります。もし決めたとしても、機器を大切に扱うとか、料金のこと、危ないサイトには行かない、などでは、本当に

子どもがスマホを欲しいといったら?(後編)〜ルールづくりは子どもと対話しながら

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#本ページは、学研Kidsnet for Parentsの特集『子どものスマホデビュー、その時に』の一部として、2018年2月7日に掲載された記事を再録したものです。(写真のみ、記事掲載時とは異なります)。 →前編を読む Photo by Jamie Street on Unsplash 子どもの力を見定めるのは保護者の役目 後編では、子どものスマホデビューにあたって保護者が事前にできる準備をお伝えしていきます。 子どもが自分のスマホを欲しいといったとしても、そもそも子ども専用のスマホが必要ないケースも少なくありません。はやりの動画が観たい、週に何度か友だちとの連絡に必要といったレベルであれば、保護者のスマホを共有する、自宅のパソコンやタブレットを使わせるなどの方法を検討してみましょう。 同じスマホでも、どんなアプリを入れるのか、そのアプリをどこまで使わせるかが、トラブル発生の可能性に影響します。 たとえば子どもたちの人気が高いYouTubeでも、子どもの自制心が不十分なうちは、一人では自由に閲覧させられません。さらに、YouTubeに動画を公開するとなれば、インターネットのいろいろな特性を子ども自身がよくよく理解していることが前提となります。 利用を認めるか、認めないかという二択で考えるのではなく、「知っている」と「できる」をはっきりさせて、区切りをつけながら利用を少しずつ認めていこうという考え方です。 子どもたちのインターネット利用について考える研究会「段階的利用モデル(2015)」を著者が改変 利用させる範囲と求められる力の関係は、専門家によって既に整理されています※1。 一方的に禁止や制限をするのではなく、各段階で求められる力や知識をあらかじめ保護者が説明し、 自身に力がつけば制限される範囲は小さくなるという考え方を、子ども自身が理解しておくことが大切 です。 子どもとの対話がルールづくりのキーポイントとなっているのです。 そして、利用させる範囲は、子どもの年齢・学年で決めるのではなく、一人ひとりの力に合わせ、保護者が判断する必要があります。 機能制限と初期設定には大人の常識をはたらかせて 利用させると約束した範囲をこえた勝手な利用を防ぐために、すべてのスマホに保護者が設定できる機能制限の

11/15札幌市中央区PTA連合会研修大会にて登壇します

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第2部会「子育てとスマホ」を担当いたします。 ( 終了しました→札幌市PTA協議会ウェブサイト レポートページ ) 第30回札幌市中央区PTA連合会研修大会 日時:2018年11月15日木曜日(10時〜12時15分) 場所:ホテルライフォート札幌 主催:札幌市中央区PTA連合会 演題:「子育てとスマホ」〜すべての保護者にできること〜

10/27「子どもとメディア 関東」様主催イベントに登壇します

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第12回 子どもとメディアを考える学習&交流会(終了しました) 日時:2018年10月27日土曜日13時30分〜16時30分(受付13:15〜) 場所:東京労働会館[ラパスビル]地下会議室(東京都豊島区南大塚2-33-10) http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/gyojimap_rapasuhoru.htm 主催:子どもとメディア 関東 講師:吉岡良平(株式会社ラック)第1部    高橋大洋(株式会社ミヤノモリ・ラボラトリー)第2部 第1部 「IoT、AI時代のセキュリティとリテラシー〜pull型からpush型へ〜」 ネットは自ら検索して情報を引き出す(pull)時代から、利用状況から趣味や嗜好が収集され情報が送られる(push)ようになりました。こうした環境にあるAI時代のリテラシーでは、プライバシーと便利さのバランス感覚がとても必要です。 第2部 「情報化社会を生きぬく力」 インターネットやSNSの普及は、子どもたちの将来に何をもたらすのでしょうか。ますわたしたち大人が、この新しいメディアのメカニズムを学び、活用するための実践的な手がかりをご紹介します。 問い合わせ・申し込み:子どもとメディア関東(矢野)080-7020-2617、 kmediakanto@yahoo.co.jp チラシ